昔のフルートは骨でできていた?!フルートの歴史をわかりやすく解説!

フルート豆知識
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「今のフルートが誕生するまでにはどんな歴史があったのか。」「現代のフルートの形を作り上げたのはだれ?」など、現代のフルートが誕生するまでの歴史についてわかりやすく解説していきます!

フルートのはじまり【紀元前5000年頃】

フルートは世界最古の楽器である可能性が高いといわれており、フルートのはじまりはなんと紀元前5000年頃で、アナグマ類の足の骨で作られた笛がスロベニアの洞窟で発見されました。

(アナグマ類の足の骨のイメージ画像↑)

また、同じ頃にドイツの洞窟でもハゲワシの骨でできた笛が発見されています。

(ハゲワシの骨のイメージ画像↑)

紀元前5000年頃は、生きるために必要なものは自分で取りに行くのが当たり前で笛の音色が鳥の鳴き声に似ていることから、笛でおびき寄せて狩りに使っていたといわれています。

古代のフルート【紀元前2000年〜紀元後1000年】

紀元前2000年頃には、エジプトやインドでフルートのような楽器が使われるようになりました。
この時代のフルートは横向きに吹くのではなく、真っ直ぐ前に向かって吹く「縦笛」でした。素材はでできており、出る音の数は少なくシンプルなものですが、いろいろな儀式で使われていたといわれています。
この頃のエジプトやインドの人々の生活は、自然や季節に深く影響を受けていました。

中世ヨーロッパのフルート【1300年〜1600年】

中世になると、フルートがアジアからヨーロッパに伝わりました。特にドイツを中心に「横笛」が広がり、この背景には十字軍や貿易を通じたことが大きいといわれています。
主なできごとを3つに分けて解説します。

  • ルートと背景
  • ヨーロッパでのフルートの改良と広まり
  • 音楽家による普及

ルートと背景

アジアからヨーロッパへ

「横笛」は東アジアや中東に古くから存在していましたが、シルクロードを通じて様々な文化や技術がヨーロッパへ伝えられました。「横笛」もその一部でした。

十字軍(1096年〜1270年頃)

十字軍遠征の際、ヨーロッパの人々が中東や東方の文化に触れる機会が増えました。戦地で耳にした音楽や楽器が、ヨーロッパの兵士や商人を通じて戻り、広まっていったとされています。

ヨーロッパでのフルートの改良と広まり

「横笛」はドイツで人気が高まりました。ドイツで「横笛」は【ドイツ式フルート(German flute)】と呼ばれ、改良が進められました。木製で穴が少なくシンプルな構造が特徴です。また、戦場では士気を高めるためや指示を伝える手段として使用されることもあり、兵士たちに馴染みのある楽器となりました。
戦場で「横笛」は以下のような場面で使われていました。

隊列の合図や号令

フルートの軽く高い音は遠くまで届きやすく、戦場での声が届きにくい状況でも合図として有効でした。また、攻撃開始のタイミングや撤退の指示など、重要な場面でフルートが使われ、太鼓と共に戦場での合図となりました。音楽を使うことで、兵士たちが一体となって動きやすくなり、混乱を避けることができました。

士気の向上と慰め

戦闘の前後や進軍の際にフルートで勇ましいメロディーを演奏することで、兵士たちの士気を高める役割がありました。戦場では常に緊張が強いられるため、音楽を通じて心を落ち着かせ、再び戦う力を養う機会になりました。

音楽家による普及

中世の後期になると、ヨーロッパの音楽家たちがフルートの音色に注目するようになり、宮廷や貴族の間で楽しまれるようになりました。この時代に、フルートは他の楽器と合わせて演奏されることが増え、音楽の表現力を豊かにする楽器の1つとして認識されました。
こうしてフルートは中世ヨーロッパに定着し、1600年代以降のバロック時代に入ると更に改良が加えられていきました。この時期から、モーツァルトやバッハのような作曲家たちがフルートの曲を書き、ますます広く愛されるようになりました。

近世のフルート【1700年〜1800年】

1700年代になると、音楽の発展とともにフルートも進化しました。この頃から「バロックフルート(フラウト・トラヴェルソ)」と呼ばれる形が主流になりました。「バロックフルート」は木製で、8つ程度の穴があり、管も少し長くなりました。より美しい音色を出せるように、穴の配置や形も工夫されました。しかし、今のフルートに比べると、音量がかなり小さく、音程が不安定です。
バロック時代にフルートの形が大きく変わった背景には、ヨーロッパの楽器職人たちの工夫と改良が関わっています。その中でも、重要な人物を紹介します。

ジャック=マルタン・オトテール

彼はフランスのパリの管楽器職人の家庭に生まれます。彼はフルートの管を頭部管・胴部管・足部管の3つに分けました。これにより音程が安定し演奏しやすくなる調整を加えました。更に、こうした分割構造により持ち運びが便利になりました。この分割は、現代のフルートにも受け継がれています。

ベーム式フルート【1800年代後半】

1800年代後半に入ると、テオバルト・ベームという職人が「ベーム式フルート」を開発しました。これが今のフルートの元となる形です。木から金属へと材料が変わり、キーという押しやすいボタンがたくさんつきました。このおかげで、よりたくさんの音を出せるようになり、テンポが速い曲も簡単に演奏できるようになりました。
テオバルト・ベームが「ベーム式フルート」を発明していなかったら、現在のようなフルートは誕生していなかったでしょう。テオバルト・ベームがベーム式フルートの特許を取得したのは1847年で、その頃日本は江戸時代末期でした。それから今もなおフルートの形は基本的には変わっていません。

現代のフルート【1900年代〜】

1900年代になると、フルートはさらに改良が進みました。現在のフルートは主に銀やニッケル、金で作られています。音もきれいで、キーの配置や構造も工夫されているため、初心者でもスムーズに音を出すことができるようになっています。

まとめ

このようにフルートは時代ごとに改良が重ねられ、古代から現在に至るまで形と音色を進化させてきました。


【紀元前5000年頃】はじまりのフルート動物や鳥の骨でできた笛がスロベニアの洞窟及びドイツの洞窟で発見される。

【紀元前2000年〜紀元後1000年】古代のフルートエジプトやインドで骨や木を使った「縦笛」が使われていた。

【1300年〜1600年】中世ヨーロッパのフルートドイツを中心に「横笛」が広がる。

【1700年〜1800年】近世のフルートバロックフルート(フラウト・トラヴェルソ)が主流になる。

【1800年代後半】ベーム式フルートテオバルト・ベームが「ベーム式フルート」を発明する。

【1900年代〜】現代のフルート主に銀やニッケル、金で作られていて、初心者でもスムーズに音を出すことができる。

1700年〜1800年代の「バロックフルート(フラウト・トラヴェルソ)」は、現代のフルートと比べて音量は小さいですが、繊細で表情豊かな音色を出すことができるのが大きな魅力となります。ただし、初心者でもスムーズに音を出すことができる現代のフルートと比べるとバロックフルートは奏者がより音程を調整し、修正する必要があります。
このように、時代の背景や職人の技があって現代のフルートが誕生したことがわかります。
歴史を知ることで、フルートに興味を持っていただけたら嬉しいです\(^o^)/



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